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あなたをこれまで最も遠くへ誘ってくれたもの(こと)はなんですか?

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哲学という営みです。自分の身体を遠くまで持っていくことをしなくとも、きわめて身近な日常の中で、海よりも深い謎に出会うことができることを教えてくれたように思います。また、それをひとりで試みるのではなく、時に見知らぬ他者と探求することで、孤独の中では到底考えつかないような奥行きをたどることができることに、その都度心を動かされます。共に探求する他者は、高名な知識人というわけではなく、小学生であったり、サラリーマンであったり、おばあさんであったりと、市井のひとびとですが、むしろそういったひとびととの哲学の時間こそ、自分を遠くまで誘ってくれたように思います。

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既存のウェブメディアに不満を感じること、またこれからのウェブメディアに期待することはなんですか?

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問いが解決されるのではなく、問いがむしろ増えていくようなメディアでしょうか。

永井玲衣 哲学者

1991年生まれ。考えること、対話することについて探求しながら、学校・企業・寺社・美術館・自治体などで哲学対話を幅広く行っている。