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あなたをこれまで最も遠くへ誘ってくれたもの(こと)はなんですか?
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東京で地震に遭い、ニュースや情報に触れてより混乱していくなかで、とにかく実際に被災した場所に足を運ぼうと思いました。友人を誘ってレンタカーを借り、歪んだ道路を走っていくと、そう遠くない場所に被災の風景がありました。圧倒的な破壊にたじろぎつつも、せめてボランティアをしようとするけれどうまくできないでいて、ただ困った顔をしている私たちを、被災した人たちは歓待してくれました。あんだだち、遠くから来て冷たいおにぎりではかわいそうだ! そう言って復旧したばかりのガスで炊いたご飯を差し出してくれる。お土産が何もないなあ。そう言って自分たちが見たものを語ってくれる。
泥まみれになった居間を片付けてやっと再開した食卓には、恐ろしい体験を共有し、死者たちを弔うための語らいがありました。しかもそれはただ悲痛なだけではなく、笑いが含まれていて、その場に集う者同士(私たちのようなよそ者や死者をも含む)、互いへのやわらかな配慮がありました。
“未曾有の災禍”に遭った人たちは“ふつうの人”であり、徹底的な破壊のあとにも暮らしを立ち上げていく。もっとも遠い場所だと思っていた“被災地”はとても近しく、その場所に行けば語らいに混ぜてもらえたり、時には役割を与えられたりもする。日常と非日常はたしかに地続きである。この実感があるからこそ、世界中で起きるさまざまな災禍や遠い過去の出来事も身近に感じるようになりました。
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既存のウェブメディアに不満を感じること、またこれからのウェブメディアに期待することはなんですか?
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回答なし
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瀬尾夏美 アーティスト
1988年生まれ。2011年以降、岩手県陸前高田市や東北各地で、土地の人びとのことばと風景の記録を考えながら、絵や文章をつくっている。また、小森はるか(映像作家)とのアートユニットやNOOK(のおく)のメンバーとしても活動している。