- q
-
あなたをこれまで最も遠くへ誘ってくれたもの(こと)はなんですか?
- a
-
「遠く」というのが物理的なことであるならば、写真は私をどこにでも誘い出してくれます。免許はないけれど、車や飛行機、ロケットもあるのですから、その気になれば行けない場所はないでしょう。21世紀の「遠く」という言葉は、もはや物理的な距離より精神的なことを意味しているようにも思えます。
写真をはじめて16年、確かに遠く知らない国や場所、様々な人と会うことができました。当然、今でも新しい発見は尽きないけれど、どれだけ遠くに行こうとも、結局のところ私は私でしかないのだと写真は残酷なほど分かりやすく教えてくれました。
SF映画の主人公が地球から遠ざかるほど、自己と向き合わざるを得ないのと似たようなことかもしれません。だとすれば、私を遠くへ誘ってくれるのは他ならぬ私自身なのではないでしょうか。そんなことを10代の頃から思い続けて、もうすぐ31歳になろうとしています。思い描く遠くの自分の姿を、まだ追いかけています。
- q
-
既存のウェブメディアに不満を感じること、またこれからのウェブメディアに期待することはなんですか?
- a
-
ウェブメディア・雑誌・広告、のどれもが読者やユーザーのウケを意識し、内容を過剰なほど分かりやすく似通ったものに編集しているように見えることが多々ます。メデイアの不況やPV数が可視化されたのだから致し方ない思いもありますが、そうしたことで純度が下がることで、そもそもメディアに時間を割くメリットそのものが無くなっている節があるように思います。「分かりやすい=希釈と埋没のバッドスパイラル」から抜け出した、新しいメディアがあったら良いなと思います。
-
原田教正 写真家
1992年生まれ。武蔵野美術大学芸術文化学科/映像学科に在学中よりフリーランスとして独立。雑誌や広告などでの撮影を中心に、企画・編集ユニット「点と線」を主宰。