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あなたをこれまで最も遠くへ誘ってくれたもの(こと)はなんですか?

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2005年ごろに、東京のまんなかから外に向けて、自動車で3度、長い時間をかけてドライブしたことがあります。人口が減ると都市はどうなるんだろうということを考えるためのちょっとした旅行でしたが、小さなビルやショートケーキのような住宅、やる気のなさそうな農地やくたびれた商店街などからなる、たいして面白くもない「普通のまち」が延々とつらなる風景の記憶は、その後に取り組んでいる人口減少時代の都市についての思索の原点ともなっています。そこから20年、まだまだ考えることが残っており、今から振り返ると、あの3度のドライブが、自分をとても遠くに運んでくれたのだなあと思います。

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既存のウェブメディアに不満を感じること、またこれからのウェブメディアに期待することはなんですか?

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僕は「普通の人のつぶやき」が結構好きなので、整理された情報よりは、雑多なつぶやき(ヤフコメとか……)を、時間を決めて流し読みをしたりします。そういうところから、都市計画が相手にしなくてはいけない、これからの世論が立ち上がるのだと思っていますので、これからのメディアには、そういう雑多さを是非とも残してほしいと思います。

饗庭伸 都市計画家

東京都立大学都市環境学部教授。1971年生まれ。都市計画・まちづくりを専門とし、主に都市計画における市民参加手法、人口減少時代の都市計画、震災復興のまちづくり、東アジアのまちづくりを研究している。