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あなたをこれまで最も遠くへ誘ってくれたもの(こと)はなんですか?

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人の行動を縛っている考え方を、その外側にいる猫は打ち砕いてくれる。 人と猫は、それぞれ異なる動物であるが、同じ空間で衣食住を共にしている場合もある。同じ環境における人と猫の異なる行動には、人がより良くなるヒントがあるかもしれないと考えている。つまり、猫の行動を模倣することによる身体的な気づきから、人の生活習慣や習性といったものを再考できるかもしれない。 そんな風に考えて、実験してみた。

例えば、毎晩猫の寝床で寝ることで、睡眠のイメージや自分の寝床の定義が広がったり、睡眠自体が猫とのコミュニケーションとなる可能性があった。また、猫の立てる音を真似することで、慣れてしまった騒音に敏感になったり、猫のエネルギー感を体験することができた(研究の詳細にかんしては、リンクを参照)。

私たちは猫の見ている世界や考えを理解することはできない。しかし、その行動を模倣することをきっかけにして、これまでの物事に違う形があることを教わったように思う。

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既存のウェブメディアに不満を感じること、またこれからのウェブメディアに期待することはなんですか?

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ウェブメディアは、出会うことは難しいが一度入ったら似たようなカテゴリーの情報ばかりが流れているようにみえる。求めているユーザーのうち、まだ現在の自分からはメディア自体が遠い存在であり見つけるのが難しい人もいる。

専門的な情報に特化したメディアだけではなく、求めているが出会えないユーザーがアクセスでき、かつそこでは自分は目にしないような遠いものに気づくことができるメディアがあったら良いなと思う。

中橋侑里 デザイン研究者

東京大学大学院学際情報学府修士課程在籍。1998年生まれ。デザイン工学と情報学をバックグラウンドに、共に暮らす猫の視点から人間のあり方を見つめ直し、作品や論文として発表している。