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あなたをこれまで最も遠くへ誘ってくれたもの(こと)はなんですか?
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ギター弾きのロック少年だった高校生の時の自分にとっては、ギターの録音をするために買った安いオーディオインターフェイスにオマケで付いてきたAbleton Live8のdemoバージョンが最初のDTMとの出会いだった。自分の頭の中で鳴っているサウンドを、Ableton Liveのセッションビュー(楽譜のような水平のタイムラインに楽曲を打ち込んでいくのではなく、垂直にループフレーズをストックしていく、通常のDTMソフトにはないAbleton Live独特のインターフェース)で拙く具現化しようと四苦八苦し格闘するうちに生まれるサウンドは、いつの間にか「思い通りにいかないダメな音」から「想像を超えたすごい音」になっていった。マシンとの対話を通して、自らの無意識の本領を精神分析的に発掘するような作曲法が培われていったのだ。これなくして現在のDos Monosのサウンドも、自分の思考や芸術創作への関心も育たなかっただろうと思う。
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既存のウェブメディアに不満を感じること、またこれからのウェブメディアに期待することはなんですか?
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各メディア固有のストーリー(物語性)、あるいはヒストリー(歴史観)の欠如。記事を集約し発信するという特性上、他のメディアにはない編集の意図や創意工夫、文脈の設定や発見などがなければ、せいぜい単なる情報のハブにしかならないことは必然だ。優劣は公式アカウントのフォロワー数やビュー数にしかなくなる(=価値の数値化)。「DISTANCE.media」にはそれらとは一線を画す、新たな価値の創造を目指して欲しい。特に、人が何を美しいと感じ、何を面白いと感じ、何に崇高さを見出すのか、こうした極めて人間的な問いに、人間の枠組みを越えたパースペクティブから全く新たなインサイトがもたらされることを期待する。
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荘子it トラックメイカー・ラッパー
Dos Monos。1993年生まれ。2015年に中学生時代の友人とHip HopクルーDos Monosを結成。並行して、他アーティストのプロデュースや楽曲提供も行なっている。