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あなたをこれまで最も遠くへ誘ってくれたもの(こと)はなんですか?

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アメリカはニューメキシコ州のロスアラモスの青い空。26、27歳の頃、新しい研究を始めるべく渡米した。非常に仲の良かった研究者の友人を訪ね、砂漠のど真ん中にある研究所へ行ったのだ。

侵食でできたメサ台地の上に国立の研究所がある。ボロアパートに住み、オメガ橋を自転車で超えて、プレハブのCNLS(非線形科学研究所)へ毎日通った。オメガ橋から見る広大な青い空には色々な形の雲が浮かんでいて、全く見飽きるということはなかった。

もしあのとき、あそこに行かなかったら、いまの自分はないだろう。疎遠になってしまった偉大な友人のことを思うと、まさにその時空は本当に遠いところにある。

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既存のウェブメディアに不満を感じること、またこれからのウェブメディアに期待することはなんですか?

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現実世界の雑誌ではできないこと、全く新しいメディアを狙ってほしい。単にきれいなイメージがのっけられたり、リンクが貼られてるとか、そういうことではなくて。

池上高志 大学教授

東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻広域科学システム系教授。1961年生まれ。複雑系・人工生命をテーマに、「生命とは何か?」を追求する研究を進めるのと並行して、アンドロイド機械人間「オルタ」、VRシステム「MTM」を使ったアート活動も行っている。