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あなたをこれまで最も遠くへ誘ってくれたもの(こと)はなんですか?

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月並みな答えかもしれませんが、「音楽」だと思います。2000年前後に続々と生まれた、コンピュータを最大限に活用した実験的な音楽(当時はエレクトロニカやIntelligent Dance Musicなどと呼ばれていました)と出会った私は、テクノロジーがあって初めて可能になる新しい音色やリズムに夢中になりました。やがてそれがメディアアートの世界への興味に繋がり、テクノロジーと表現/メディアの関係、テクノロジーがどのように人の創造性を拡張するのかといったことを考えるようになりました。見よう見まねで独学で活動する中で、それまでは会えなかった多くの面白い人たちに出会い、結局、今の仕事に繋がっていきます。

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既存のウェブメディアに不満を感じること、またこれからのウェブメディアに期待することはなんですか?

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ウェブという媒体の性質からいたし方ない部分もあるのかなと思いつつ、全体的に読者に優しくなりすぎているようには感じます。自分が新しい音楽やメディアアートの世界に出会った頃、貪るように読んだアーティストのインタビューや批評家のコメントなどを載せた雑誌。今の自分が改めて読み直してみても、かなり難解な議論が飛び交っていました。そんな文章を前に、自分にとって未知の世界があるということにむしろ興奮して、ああでもないこうでもないと自分なりに理解しようと努力したのを良く覚えてます。そのほとんどが的外れで、単なる「妄想」だったりしたのですが、あの妄想が自分の成長につながっていたようにも思います。そうした意味で、もうちょっと読者にチャレンジする、読者が妄想をたくましくする(せざるをえない)ようなウェブメディアがあっても良いのではないでしょうか。
(最近のウェブメディアは広告が多すぎて読みにくい、気が散る場合が多いという苦言も追加しておきます。)

徳井直生 アーティスト・研究者

Qosmo 代表取締役、慶應義塾大学SFC特別招聘准教授。1976年生まれ。人工知能(AI)を用いた創造性の拡張、音楽表現の研究に従事するとともに、DJ/プロデューサーとして活動している。