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あなたをこれまで最も遠くへ誘ってくれたもの(こと)はなんですか?

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京都府の海のまち宮津の写真師・大橋申廣の120年前の足跡を追いかけて、アフリカ東海岸から約1300km沖合の島嶼国セーシェルを訪ねたこと。青木澄夫さんがコレクションされた絵はがきを通じて、大橋を知りました。

ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』によれば、セーシェルは14世紀以降の無人地帯として南極とアゾレス諸島に並ぶ希な土地。つまり、地球上の人類最後の入植地のひとつ。

出アフリカして世界中に拡散したホモ・サピエンスは、6万年前後の長い時を経て地球をひとめぐりし、ついにアフリカ沖のこの島々へたどり着きました。250年前にやってきた最初の住民は、フランス人商人と彼らが連れてきた奴隷たち。その後、フランス、イギリス、マレー、インド、アフリカ、中国などから人々がやってきます。セーシェル最初期の写真師として活動することになった大橋申廣は、偶然の巡り合わせによってそこに居合わせた移民のひとり。

セーシェルの島々は、地球上にかつて存在した古い大地、ゴンドワナ大陸のかけらでもあります。ゴンドワナ大陸は、アフリカ、南アメリカ、オーストラリアの各大陸やインド亜大陸に分裂しました。セーシェルの首都があるマヘ島や、プララン島の波打ち際には、長い時と共に深い溝が刻まれた花崗岩が屹立しています。

太古の大地の上に構築された、地球上で最も新しく混成的な居住者集団・セセロワ(セーシェルの人々)の歴史と物語に惹き付けられました。

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既存のウェブメディアに不満を感じること、またこれからのウェブメディアに期待することはなんですか?

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回答なし

松田法子 建築史・都市史・領域史研究者

京都府立大学大学院生命環境科学研究科准教授。1978年生まれ。「領域史」や「都市と大地」というテーマの探究、ヒトによる生存環境構築の長期的歴史とそのモードを探る共同研究「生環境構築史」などにも取り組む。